トヨタとサムスンの違い(3)

トヨタ自動車はその名の通りに、自動車メーカです。昨今、100年に一度の危機として変革を図っています。モビリティカンパニーと称して、メーカから輸送や移動のすべてまでを対象とした会社への脱却です。それでも所詮、輸送機器から輸送関連ビジネスへの変化です。東富士の工場跡地に作るスマートシティは、それらも包括したインフラ開発と日常生活での利用であり、そのさらに先を目指した実験のようで注目しています。

一方のサムスン、こちらは、ありとあらゆる業種に取り組んでいます。コングロマリット、複合企業です。節操なく儲かりそうなところはなんでも手掛けているとも見えます。

サムスンとは企業集団、サムスングループです。日本でのサムスンは、実はそのグループの一企業の(利益と規模は圧倒的ですが)サムスン電子を示していることがほとんどです。

サムスングループを簡単に説明します。そもそもは日本統治下の1938年に設立された商社、サムスン(三星)商会に由来します。朝鮮戦争後、初めて製造に進出し、戦後消費の急拡大が見込まれる砂糖と繊維製造を始めました。その後、建築、造船、電池等々も手掛けています。BMWの電気自動車へのバッテリはサムスンSDIから供給、世界一高いビルのブルジュ・ハリファ(ドバイ)はサムスン物産が主たる建設会社です。1969年にはサンヨーと合弁で家電に進出し、現在のサムスン電子となっています。アジア通貨危機で撤退しましたが、一時は自動車も作ってました。今でもルノーサムスンというブランドを残し、ルノー車を輸入販売しています。

昨今、アメリカから新型コロナ治療薬の大規模な製造委託を埋めたと話題の会社はサムスンバイオロジクスです。

サムスンは収益性が下がると事業売却します。合成樹脂や砂糖は売却され、別の会社としてビジネスを継続しています。

おおよそ20年に一度程度、大規模な変革があるように見受けられます。

トヨタは自動車関連一本での成長、一方のサムスンは業態を変えながらの成長です。