気仙沼BRT 取材(2)自動運転

技術オフィスTech-Tのビジネス・エリア

当事務所のビジネス領域として、ADAS (Advanced Driving Assistant System、先進運転支援システム)、さらにその先の自動運転(AD)に関連した情報を調査分析しています。特に、それらのためのセンサーや制御機器等に使用される樹脂材料やその成形品、筐体加工方法などを調査しています。

東日本大震災からの復興はBRTで (続き)

自動運転の実証試験

2018年から2回、大船渡線の一部、数百mの区間を使用したマイクロバスでの実証試験が実施されました。一方、今年の1月から3月の約2か月間、気仙沼線の専用道路部分、柳津駅から陸前横山間の4.8kmで、実運用の大型バスを改造した車両により、レベル3の認証を目標としての本格的実用化のための走行試験が行われました。

(出展:JT東日本ウェブサイト、https://www.jreast.co.jp/railway/train/brt/

専用道路で一般車両との交絡はありませんが、単線を専用道路化したために対向運転はできずに、上下交換の待避所や、トンネルを含めての走行試験です。

一般的なバスの自動運転試験は時速40kmですが、専用道路を使い、走行位置の詳細把握のための磁気マーカの埋め込みなどもあり、時速60kmと高速走行試験となってます。

自動運転のための対応と各種機器類

自動運転実用化試験は、10社が表のような分担で協業しています。

図は、自動運転のためのセンサー類の設置状況(バスの改造)です。

かなり大規模な改造ということがわかります。当事務所の調査分析の領域は、これらセンサー類に使用される樹脂材料とその特性です。光学系・電波系と各種のセンシングデバイスが使用されていますが、いずれも風雨やホコリを避けるためにエア・シールド筐体内部への配置が必要です。筐体は易加工性と軽量化のためにプラスチックの活用が期待されます。電磁波を送受信する方向には電磁波透過性が、一方、その他の部位はノイズ抑制のために電磁波吸収性が求められます。水入り防止のためにはレーザ溶着、高速大容量の情報通信に伴う発熱対策としては高熱伝導性が求められるなど、従来の樹脂とは異なる特性が必要となってきています。

余談ですが、

iPhone 12 Pro、iPhone 13 Pro にもLiDARが搭載されています。車載のLiDARに比べればはるかに低機能でしょうが、3D計測とデータ化ができるので、遠隔地の知人に部屋のレイアウトを示したり、あるいは人物をスキャンして3Dプリンタでフィギュアをつくるといった活用が可能です。

車載センサーデバイスの機能や地上との通信状況は以前にご紹介した中国の新興EVメーカのHuman Horizonsのデモビデオが参考となります。以下の中の、デモビデオPart2(約7分)とPart3(約1分)を参照ください。

中国 新興EVメーカ(Human Horizons)オンライン・プレゼンテーション

日本の主要自動車メーカでも同様な走行試験を実施しているのでしょうが、ここまで詳細には公開が許されていません。

なお、Human Horizonsからは、この5月にレベル2の自動運転車が市販されています。

Human Horizons(華人運通) 納車を開始

気仙沼BRT取材(3)につづく

気仙沼BRT取材(1)はこちらから