サムスンのTOPに逮捕状請求 第一毛織

サムスンの実質的なTOPである、李在鎔サムスン電子副会長に逮捕状が請求されたとのニュースが流れています。このニュース、元サムスン社員としては解説するポイントがたくさんあります。逮捕状の絡に第一毛織とは、私が勤務していた会社です。写真はその際の名刺(部分)です。

サムスンはもともとはサムスン商会という商社でした。朝鮮戦争後の韓国発展の際には砂糖と衣料品の消費が拡大するとの読みで、1954年に第一製糖、第一毛織という会社を設立しています。第一製糖はその後、売却されました。一方の第一毛織は、アパレルと合成樹脂のメーカとして発展するとともに、実質的にサムスングループの持ち株会社となりました。私は合成樹脂部門の研究所勤務でしたので、持ち株会社的な機能の部分は後々に理解した部分です。第一毛織の合成樹脂部門は、私が勤務していたさなかの2014年にサムスングループ内のSamsunSDIに事業移管されました。しかし、その翌年、サムスングループからは離れて、Lotteグループに事業譲渡され、Lotte先端素材という会社となってます。韓国ではLotteは後発の財閥です。日本のお菓子のロッテが原点で、韓国ではお菓子はほんの一部です。小売りに強く、Lotte百貨店やスーパマーケットのロッテ・マートがあります。ソウルの一等地にあるロッテホテルも有名ですね。

なお、第一毛織と漢字表記されていますが、韓国も日本と同様に、漢字由来の言葉が多数、そのまま使われています。第一毛織という漢字はハングルの発音では、チェ・イル・モ・ジックと言います。英名はCheil Indusutriesですが、Cheilが「第一」の音から来ています。

一般の韓国の方にとっては、第一毛織(チェイルモジック)は、大変に印象の良い会社でした。メーカとしてではなく、同社のアパレルが、韓国内では高級ブランドであるためです。アパレルと合成樹脂という意味では、第一毛織は日本の 東レや帝人に近い会社でしょうか。

韓国での日々もサムスンも、楽しく仕事をしたということもあり、私にとっては印象の良いところです。

トヨタとサムスンを比較すると、いろいろと面白い見方ができます。民族性の比較も含めて、セミナーの演題として、また、書籍としてまとめているところです。

冒頭で、解説ポイントがたくさんあると書きました。なぜ、サムスン電子の副会長という肩書なのか、なぜ、副会長が実質的TOPなのかなどなど。この辺りは、機会があれば、解説いたします。