ひずみや温度の光ファイバ計測法 その2 OFDR法

光ファイバ計測法の解説
光ファイバをセンサーとして利用することでひずみ温度変化の詳細計測が可能です。

光ファイバの構造

光ファイバそのものがセンサとして機能する計測方法で、ファイバ材料である石英ガラスの伸縮を物理的な変化量として計測するものです。

前回は光ファイバ計測方法のうちの代表的なふたつの方法を紹介しました。

(1)FBG法(Fiber Bragg Grating)
(2)OFDR法(Optical Frequency Domain Reflectometry)

FBG法は原理まで説明しましたが、OFDR法は原理が複雑ですので、その説明を今回に持ち越してました。

今回は、OFDR法の原理説明です。

光ファイバで遠方まで光が伝送できる原理

本来、屈折率の異なる物質の界面に「低角度」で入射した光は侵入することなく反射します。静かな水面に遠くの山並みが映る原理です。界面やコア層内部にわずかな歪みや欠陥がある場合は低角度反射ではなく、散乱が生じます。OFDRではそれら散乱現象の中のレイリー散乱(Rayleigh scattering)を利用します。レイリー散乱とは光の波長よりも小さい粒子による散乱です。きわめてわずかな欠陥で散乱しますので無数に散乱が発生しています。OFDRでは入射した側、すなわち光の進行の逆、後方に散乱してきた光を利用します。

散乱の強度は各位置で異なりますので、この後方散乱光からは光ファイバの長手方向の各位置での反射強度分布が得られます。その位置分解能は、実に1μmと言われています。光ファイバの ある部分が伸縮すると反射強度分布のパターンがずれます。このズレ量からひずみを求めるという原理です。実際には1μmごととも言われる強度分布そのものを比較するのではなく、ある区間、たとえば、1mmでの強度分布をフーリエ変換し、周波数の変化と求めます。

正確さには欠ける部分もありますが、以上が、OFDR法の「ざっとした」計測原理です。

レイリー散乱に関する余談です。
小さい振幅波長ほど異物にぶつかりやすくなりますので、散乱は波長の4乗に反比例すると言われています。波長が短いほど急激に散乱を生じます。散乱した波長がまた別の粒子で散乱し、波長の短い光だらけとなります。波長の短い色は青です。このため、空や海は青色となります。一方、波長の長い光は散乱せずに遠くまで到達します。夕方茜色となるのはこの原理です。散乱してしまった青は遠くまで届かず、赤い光だけが残ります。

(1)FBG法(Fiber Bragg Grating)
(2)OFDR法(Optical Frequency Domain Reflectometry)

それぞれの原理がわかりましたので、メリットとデメリットも理解できるようになりました。

次回は、両方法を比較します。

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