X線タルボ・ローと破壊解析の組み合せ

第12回 日本複合材料会議

講演プログラム

X線タルボ・ローX線CTの結果を破壊解析条件とした研究です。

大変に興味深い研究発表をご紹介します。
金沢工業大学×島津製作所×アドバンストテクノロジによる共同研究で、計測と数値解析(シミュレーション)を組み合わせた多面的な検討です。
弊職が提唱している、総合エンジニアリングと同じ取組みです。

さらなる詳細は、弊職が講師を務めるCFRP関連のセミナでのご紹介を予定しています。

3D-03
不連続炭素繊維ランダム配向積層板のX線位相イメージングによる繊維配向解析と配向データを用いた損傷解析

金沢工業大学 ○白井武広、坂口真実、鵜澤潔
株式会社島津製作所 木村健士、土岐貴弘、森本直樹
株式会社アドバンストテクノロジー黄 緒明

実施内容は以下の5項目です。

①試験サンプル作製
 CTTシート プレス成形 250×250mm厚さ 2mm長さ250×幅 35mm切断
②X線位相イメージングによる配向解析(島津製作所)
③X線CT撮影装置 (ZEISS)で撮影し
 画像解析ソフト AVIZO(日本FEI社 )で繊維配向の定量化
GENOAによる損傷解析株式会社アドバンストテクノロジー)
⑤引張試験
 デジタル画像相関(DIC)装置( Lavison社Strain Master)

②③の結果を④の解析条件とし、④と⑤の相関性を検討しています。

⑤試験後の試験片写真の破断状況と④GENOAの破壊部位リスク予測はかなり良い相関を示しています。
⑤の際のDICによるひずみ分布と④GENOAの破壊部位リスク予測もかなり良い相関を示しています。

一部試験片では 不一致箇所があり  積層方向の異方性など内部構造に起因しており、今後の研究課題とされていますが、この報告だけでかなりの価値がある内容です。

このような取り組みから、破壊現象の解明や予測向上へと進化することが期待できます。
昨今は流動解析手法を活用した長繊維を含む樹脂のプレス成形時の配向予測も進化しており、この手法と組み合わせることで試作や実測無しでの破壊予測が可能となります。

3資料分の観察結果のカラー写真が掲載されていますので、ぜひ報文を入手し、参照されますように推薦いたします。

先に報告した2B-05と同様に島津製作所のX線タルボ・ロー干渉計により CTT(chopped carbon fiber tape thermoplastic)CFRPの配向分布を観察しています。