水素エネルギ社会(16)水素の安全性

在りし日の富士山省レーダ(出展:気象庁ウエブサイト)

社会人としての最初の仕事は、マイクロ波真空管の開発・製造でした。埼玉県の新日本無線という会社です。半導体の会社だと思って入社したところ、まさかの真空管部門への配属でした。そのときまで、この世の中でまだ真空管が使われているとは知りませんでした。主たる用途は防衛レーダ向けです。富士山頂のレーダにも使われていましたが、気象用は衛星に置き換わっているようです。10年ほどでトヨタに転職しましたが、転職直前は地対空ミサイルのパトリオット関連のレーダでした。今はPAC3に進化してます。お好きな方は、北海道新聞社のPAC3配備訓練YouTubeをご覧ください。なお、防衛省では、パトリオットではなく、ペトリオットと呼んでます。

さて、真空管ですから、当然、漏れがあってはいけません。漏れの有無の検査、リークテストに水素を使用します。正確には、普段はヘリウムガスを使ってますが、高感度を必要とする際に水素混合ヘリウムガスを使用します。真空管内部を検査装置に取り付けて真空とします。真空管の各部に外部から水素ガスを近づけます。漏れがあると検査装置内に水素(あるいはヘリウム)ガスが侵入し、質量分析器の原理で検知して信号を出すという検査です。

パトリオットミサイル 出展;防衛省ウエブサイト

水素は、元素表の一番最初に出てくるように、もっとも軽い、すなわち原子サイズの小さな物質です。ごくわずかは隙間から浸透することができます。このためにリークテストに利用するのですが、これは同時に、水素タンクにわずかな隙間があれば容易に漏れてしまうこととなります。

容易に漏れはするものの、単位時間当たりの漏れ量はこれまたごく微量です。また、きわめて軽い気体ですので、上昇して容易に排出されます。仮に、漏洩した水素を貯めようとすると、かなりの密閉構造とする必要があります。よって、FCVとしてのリーク問題は無視できるレベルです。

安全性としては、車両火災の際の爆発も気になるところです。以前、樹脂製ガソリンタンクの開発に関連していたことがあり、車両火災を模した火炎暴露試験を見学しました。オイルパンに入れたガソリンを燃焼させ、ガソリンタンクをあぶる試験です。なかなかにドキドキものです。水素タンクにも同様の試験規格があり、安全性を担保するようになっています。当然、この規格を満足するように、各メーカはタンク構造にそれなりの工夫をしてます。

想像、推定での記載もあります。本格的に水素タンクをご検討するのでしたら、GTL等の規格や、高圧ガス保安協会(KHK)からの発信情報をご参照ください。

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