2026年2月18日から20日にかけて、「高機能素材Week名古屋(主催:RX Japan 合同会社)」が開催されました。本展示会は、初の名古屋開催です。高機能材料、成形加工技術、リサイクル技術、次世代モビリティ関連技術が一堂に会する専門展示会として、材料・部品・製品開発に携わる技術者から高い注目を集めています。本記事では、環境対応と高性能化を軸に、材料技術と実車展示の両面から注目展示を整理します。

最新情報はメルマガで。メルマガ 配信登録は こちらから

トレンドや各種情報は  セミナで詳しく解説します。【セミナ案内】

■ リサイクル技術が切り拓く高機能材料の次世代像

本展示会で特に存在感を示していたのが、CFRPやPPSなどのエンジニアリングプラスチックのリサイクル技術です。
CFRPリサイクル分野では、廃棄される炭素繊維複合材料を従来の熱部内報よりも低温で分解し、炭素繊維の強度を95%以上保持したまま再資源化する溶媒溶解法が紹介されました。回収された炭素繊維は、不織布や射出成形用ペレットなどへ加工可能であり、資源循環とGHG排出量削減の両立を実現する技術として注目されます。

PPS樹脂に関しては、ガラス繊維強化PPSを対象としたマテリアルリサイクル技術が展示されました。従来は繊維折損や物性低下が課題とされてきましたが、新技術ではリサイクル材とバージン材を最適にブレンドすることで、初期性能を維持した成形品を実現しています。自動車部品をはじめとする高信頼性用途において、リサイクル材料の適用範囲を広げる重要な技術といえるでしょう。

■ PFASフリー材料と環境規制対応

近年強化される環境規制への対応として、PFASフリー材料の提案も大きなテーマです。難燃性・高耐熱性を維持しながら柔軟性を付与した次世代PPS樹脂は、冷却配管や配線被覆など、過酷環境下での使用を想定した材料です。フッ素樹脂の代替材料として、環境負荷低減と安定供給の両面で実用性が期待されています。

■ PP材料によるモノマテリアル化と加飾技術

モノマテリアル化を狙ったPPフィルムの提案です。本展示会では、加飾フィルム向けPP材料が紹介され、従来使用されてきたPMMAやABSに匹敵する形状追従性と意匠性を実現していました。部材のオールPP化(モノマテリアル化)により、リサイクル時の分別性向上や物性低下抑制が可能となり、環境対応と設計自由度の両立に貢献します。

■ コンプライアントメカニズムの独立展開

今回の展示で特に印象的だったのが、コンプライアントメカニズムを活用した樹脂一体構造技術です。コンプライアントメカニズムとは、素材が持つ弾性を積極的に利用し、部品の変形そのものを機構として活用する設計思想です。従来の金属ばねやヒンジを用いた構造と異なり、単一材料・一体成形で動作機能を実現できる点が大きな特長です。

この技術により、部品点数削減、軽量化、メンテナンスフリー化、さらにはモノマテリアル化によるリサイクル性向上が可能となります。実際に月面探査車向け部品への適用事例も紹介されており、極限環境下での信頼性を確保しながら構造を簡素化できる点は、今後のモビリティ設計において重要な示唆を与えています。

この技術による樹脂部品は既に月面に到達しています。

■ 車両の分解展示・デモ走行による技術の可視化

材料単体の展示に加え、インド・マヒンドラ性の電気自動車が分解展示されていました。

また、次世代小型モビリティLean3(ミニカー いわゆる原付三三。一人乗りで最高時速60km)の体験試乗ができました。話題のクルマの実車を始めてみて、さらには運転もできました。走行安定性、操縦性の高さが実際に体感でき、設計思想を感じることができました。外板は軽量化のために樹脂となっています。機会を得て、調査したいと考えています。

軽快な走りと未来感あるデザインが魅力的
アクティブ制御で転倒しない安定走行

■ まとめ

高機能素材Week名古屋2026では、リサイクル材料の高度化、PFASフリー対応、PPを含むモノマテリアル化、コンプライアントメカニズム、そして車両分解展示やデモ走行といった実証的な取り組みが紹介されました。環境対応と高機能化を同時に実現するためには、材料技術単体ではなく、成形・構造設計・実機検証を含めた統合的な視点が不可欠です。本展示会は、次世代製品開発の方向性を考える上で、多くの示唆を与える場となりました。



ご案内 

講演・セミナーの予定


セミナーやコンサルティングなどのご相談窓口