日本の小型BEV 現状を概観します

前回はJapan Mobility Showで見かけた小型BEVについてレポートしました。
それでは日本にはどんな小型BEVがあるのでしょうか? 
今回は、どんな小型BEVが発売されているのか、走っているのか、あるいは計画されているのかという点を整理します。

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さて、軽自動車を小型BEVに含めるのか含めないのかという点です。
代表的な軽BEVは日産のサクラ(三菱自動車のeKクロス EV)です。
当社で試乗しレポートしています。
コンパクトながら10年の日産の電気自動車の歴史に基づいたとても使いやすい車でした。

サクラ 試乗

今回のこのレポートでは、軽自動車よりもさらに小さい超小型BEV、原動機付き自転車(四輪)、新たに設けられた超小型モビリティを中心に見ていきます。

アラコエブリデーコムス

先ず以て日本の超小型BEVの歴史で注目すべきは、アラコのエブリデーコムスです。
実に20年以上も前、2000年6月に発売された実用的小型BEVです。
あのランドクルーザーを製造しているアラコから、実に小さな車が発売されたと驚きました。

写真出典:トヨタ車体ウェブサイト

第一種原動機付自転車(四輪)(総排気量50cc以下または定格出力0.6kW以下)、いわゆる原付に分類されるれっきとしたクルマです。
よって、普通免許ないし原付の運転免許証が必要です。
一方、車検や車庫証明が不要で、税金も安く維持しやすいクルマです。
当時、70万円を切る価格でした。

1935×955×1600mm(全長×全幅×全高)、車両重量270kgと軽自動車の1/3のサイズ・重量感です。
プラスチックの専門家という立場上、ボディがすべて樹脂製である点にも注目したクルマでした。

さて、驚くべきは、インホイールモータを採用した点です。
定格出力0.29kwのモータ2個を後輪のホイール内に配置してあります。
しかも回生ブレーキ機構付きです。

アラコの車両事業部門は2004年、トヨタ車体移りました。
ちなみに、部品部門は最終的に現在のトヨタ紡織に移りました。

そんな経緯もあり、アラコで検討していたバイオ系の樹脂の検討も、トヨタ車体とトヨタ紡織のそれぞれに引き継がれています。

トヨタ車体/コムス

2012年7月に発売されました。
車両の名称からも、またアラコの車両部門が合流したトヨタ車体からの発売ということからも、エブリデーコムスの流れをくむ車です。

写真出典:トヨタ車体カタログ

車体は多少大きくなり、2395×1095×1500mm(全長×全幅×全高)、車両重量410kgです。
価格は約67万円~です。
大きな変化点は、インホイールモータから、1モーターによるデフ付き後輪駆動に代わった点です。

以下の図は、トヨタ車体のウェブサイトのコムスの説明図です。
電気自動車の基礎的な構造がよくわかります。
これだけで走行可能となるので、電気自動車への参入障壁が低いことも理解できます。

当初の最大搭載重量は30kgでしたが、その後の法規改正とマイナーチェンジにより90kg搭載可能な仕様も発売されています。

チョイノリには便利で、実際、名古屋大学では構内連絡車に活用されています。

名古屋大学の正門から一番奥の、たとえば、未来材料・システム研究所までは緩やかな登り道で20分ほどかかります。
この建屋の前に写真のようにコムスの駐車ブースがあります。
充電中で電源コードが接続されていました。

写真のように、コムスにはドアが無く、ビニールないし布状のシートが付いています。
構造をシンプルにして安価にするとの狙いもあるでしょうが、何よりも、軽くして原付規格の出力(定格出力0.6kW以下)に抑えるためと考えられます。
コムスの出力は定格ぎりぎりの0.59kWです。

トヨタ車体/コムス樹脂外板のカーボンニュートラル・チャレンジ

コムスもエブリデーコムスと同様に、外板はすべて樹脂製です。
トヨタ車体ではその外板のカーボンニュートラルに取り組んでおり、各種の展示会で提言しています。

材料のカーボンニュートラルの着眼で植物由来樹脂の活用、また、塗装時の温室効果ガス(炭酸ガス)削減を狙い塗装レス樹脂外板の提案です。

以下は、以前の報告の再掲となりますがご参照ください。

2022年の人とくるまのテクノロジー展YOKOHAMAには写真のような、構内自動運転を想定したコンセプト車が展示してありました。
コムスの発展的な活用としての提案で、構内運搬車などのための自動運転、塗装CO2削減としての外板の塗装レス化などを折り込んで展示されていました。
外板塗装レスは、開口部のウエルド等の課題などがあるとのことでした。

FOMM/FOMM ONE

FOMMは、アラコのエブリデーコムスの開発からかかわっていた鶴巻氏が2013年に設立した会社となります。
First One Mile Mobility からFOMMです。

FOMM ONEはタイで製造販売されている他、日本でもカーシェアサービスを中心に導入されています。

ポートメッセなごやで展示会「メッセナゴヤ2023」で試乗しましたが、アクセルがステアリングホイール部のパドルでの操作となります。

足元には、ブレーキペダルしかありません。
インホイールモータ2個による、FFです。

2585×1295×1550mm(全長×全幅×全高)、車両重量620km、出力10kW( 5kW×2個)で、
乗車定員は何と4名です。
したがって、軽自動車規格内に新たに設けられた「超小型モビリティ」には該当せず従来の軽自動車の規格扱いです。
最高速度は80kmなので、高速道路も走行可能です。

外板はすべて樹脂製です。
おそらく、バンパー用の材料に類似したポリプロピレン系と推察されます。

ナゴヤメッセ2023の講演会&試乗会に関しては別途レポートの予定です。

この際に見学・試乗したKGモーターズのコンセプトカーアパテックモーターズの市販車 大熊に関しても続報します。

トヨタ自動車/小型BEVのC +pod

このクルマも外板は樹脂製です。

(以下の一部は以前のレポートの再掲となります。)

株主総会の際にトヨタ会館でじっくりと観察しました。
二人乗りのまさに、ミニBEVです。
最高時速は60kmと高速道路は走れませんが、チョイノリ、近場では十分なクルマです。
地方の足にぴったりかもしれません。
最高速度をさらに制限し、簡単な自動運転機能を付けることで、たとえば高齢者を病院やお店に連れて行ってくれる、そんな活用も想像されました。

実際の利便性を確かめるために、近々借りて試乗の予定です。
試乗以外に、車体構成も注目している点ですが、これはまた後ほどの機会にお話しします。
もっとも車載プラのセミナーなどでは既に紹介していますが。

豊田市ではこのクルマでのカ―シェアの社会実験に取り組んでいます。
数か所のステーション間であれば、乗り捨て自由、予約も直前までアプリで可能で、費用も15分当たり220円です。
前述のように一度乗ってみます。

他に、ENEOSが参加しているカ―シェアサービスHELLO MOBILITYでも同様の金額で借りることができます。
C+podの他に、前述のFOMM ONEも借りることができます。

2020年12月から限定販売、2021年12月からは個人向けにも販売を拡大しています。
価格は165万円~
2490×1290×1550mm(全長×全幅×全高)、車両重量670km、出力2.6kWのFRで、乗車定員は2名です。
規格区分としては、「超小型モビリティ」に該当します。
最高速度は60kmと指定されているため、高速道路は走行可能できません。

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