プラスチックのリサイクル技術 企業編 最新版

花王 化粧品ボトルを再度ボトルへ ケミカルリサイクルで

花王から水平リサイクル、元の用途に再度利用する取組みのプレスリリースがありました。(2021年5月26日)
花王 | 花王、化粧品でプラスチックボトルの水平リサイクルをめざしケミカルリサイクルPET素材の採用を開始 (kao.com)

ペットリファインテクノロジー株式会社のケミカルリサイクルPET樹脂を化粧品ブランドTWANYに使用を開始しました。余談ですが、TWANYはカネボウ化粧品のブランドです。15年前に花王がカネボウ化粧品を買収してますが今でも、ブランドとしてはカネボウ化粧品のTWANYです。今後、デパート店頭などで使用済みボトルを回収することで、水平リサイクルを目指すとの発表でした。

回収が最初ではなく、リサイクル材の使用が入り口という、興味深い着手手順です。

高品質が必要な化粧品用のボトルでの取り組みという点も注目されるポイントです。ケミカルリサイクルという点が、マテリアルリサイクルの課題の品質低下や異物問題への対応となっています。

三菱ケミカル 炭素繊維の循環型リサイクル

7月6日日経朝刊に、三菱ケミカルの欧州における取り組みが掲載されていました。
三菱ケミ、炭素繊維を「循環」 先端素材も脱・使い捨て: (日本経済新聞 電子版)

三菱ケミカルはちょうど一年前に、リサイクル技術関連の欧州企業を買収しています。
欧州における炭素繊維リサイクル会社の買収について|ニュース|三菱ケミカル株式会社 (m-chemical.co.jp)
その会社CFK社によるCFRPのサーキュラーエコノミー(循環型経済)関する記事です。なお、特にこの時期に三菱ケミカルからのニュースリリースはなかったようなので、サーキュラーエコノミーに関する特集的記事の主要な取り組みとして掲載したようです。

CFRPや車載プラスチックの講演の際には、CFRPのリサイクルの課題をご説明しています。CFRPは厄介な材料で、焼却処分は何かとトラブルを起こすために埋め立てが現実的な処分方法です。

車載のCFRPはカーボンオフセットの視点では逆風が吹いています。自動車軽量化のための有望な材料とされていますが、LCAの観点からは、炭素繊維製造時の炭酸ガス放出が多いために走行距離が短い場合はむしろLCA的に不利とされています。燃料電池自動車(FCV)には、CFRP製の高圧タンクが必要ですが、FCVの普及とともにそのリサイクル問題も大きな課題になることは必須です。

炭素繊維が再利用できればこれらの問題は一気に解決しますので、循環型リサイクルのこの記事には注目しました。

イオン PETボトルのマテリアルリサイクル

こちらは先日掲載のブログをごご参照ください。
イオンでのPETボトル Bottle2Bottleリサイクル

次回は、「プラスチックのリサイクル技術 リサイクル設備技術編」を予定しています。