参考になった書籍、あるいは、その逆で役に立たなかった書籍のご紹介です。個人的な見解による、ちょっと辛口の書評です。

トヨタ生産方式

名著です。なんせ、トヨタ生産方式の生みの親とも言える、大野耐一さんの著作ですから。トヨタ時代にもしばしば話題になった本です。時には、「高原さんも、まずは『トヨタ生産方式』をお読みになったらいかがですか」などと言われてしまうくらいに、当たり前に読んでおくものです。まずもって、トヨタ生産方式の真髄、思想がわかります。それと同時に、逆説的な理解なのですが、世の中でトヨタ以外でトヨタ生産方式が根付かない、実践できない理由もよくわかります。この辺りも、ぜひ、解説書を著作したと考えております。

皆様の参考となりように情報発信ができればと考えております。当事務所設立の狙いは、皆様に「なるほど!」と感心いただくような情報発信のためであり、事務所を維持するためのモチベーションともなっております。

トヨタで学んだ「紙1枚!」にまとめる技術

私と同じ、トヨタ自動車出身の浅田すぐるさんの著書です。おすすめの一冊です。ぜひお買い求めいただき、お読みになられることを推奨いたします。特に前半の、トヨタの紙1枚の文化に関しての考え方が役に立ちます。後半の「4色ボールペン」の手法は、浅田さんが独自に編み出した手法です。私自身は実践したことがありませんが、興味深い手法ですので、ぜひ実践いただき、感想などをご連絡いただければと思います。

なお、私自身は、『A3文化』という言葉で捉えています。単に紙1枚にまとめるという手法論ではなく、A3一枚にまとめきるという考え方が役に立つと考えています。この考え方を広めたく、実践のための解説書を書いております。おそらくは、近日のうちに、Amazon Kindleで販売の予定です。

トヨタの問題解決

これはことのほか期待外れでした。トヨタの関連会社が発行しているということでトヨタでの取り組みがを紹介する本として活用できないかと思い、買い求めましたが、私の捉えているトヨタの問題解決の考え方の紹介には活用できない本でした。考え方ではなく作業の手順が書いてあるように読み取りました。また、トヨタというよりは、「製造」の問題解決という内容です。トヨタの製造部門を定年退職した人たちの分担的な著作とも読み取れ、幹の無い、現場の作業書との雰囲気でした。期待に反して、イラっとした分、だいぶ辛めの書評となりました。

バーチャル・エンジニアリング

本田技術研究所の内田さんの著書です。自動車開発関連の方はもちろんのこと、メーカで製品開発をされている方等に広くお読みいただきたい本です。デジタルの世界でどのように効率的に開発を進めるべきか、その考え方が実によくわかる本です。車両特性の評価を実際の道路でバーチャルに評価する時代になっています。さらにその結果を公的に認めるというデジタル認証も検討されています。同時に、本の副題にもありますが、如何に日本の開発スタイルが時代に遅れてきたかの危機感も感じることのできる本です。今や、自動車開発の基幹CADが、ドイツとフランスの会社のものであり、また、IoTでの情報収集とその応用は、シーメンスやドイツの国家的な取り組み、あるいはGEオリジナルが主体です。あらゆる側面で日本が時代遅れになっているという危機感を感じます。

本書は、横浜国立大学 名誉教授の白鳥先生からのご紹介でした。大変に感銘を受けた旨をお伝えしたところ、著者の内田さんとの会食の場を設定いただきました。トヨタ出身の私がホンダの内田さんと深くお話しするという実に楽しい機会でした。

サムスン・クライシス

元サムスンの人事系の専務であった張相秀さんと経済評論家の片山修さんの対話形式の著書です。サムスンの発展の歴史やそのための施策がどんなものであったかを全体的に理解できる本です。私自身のサムスンの経験を再確認したり、背景となる意味合いをも理解でき、あっという間に読み終えた一冊です。内容的にも興味深いものがあり、たとえば、給与体系の詳細も書かれています。多くの部分は、日本との対比で書かれていますので、具体的にイメージしやすいと感じました。

個人的には、サムスンとトヨタを対比的に捉えることで相互を理解できると感じています。この辺りも、トヨタとサムソンの比較論、さらに日本と韓国の国家や国民性の差異なども含めて情報発信したいと考えています。

危機の経営 サムスンを世界一企業に変えた3つのイノベーション

サムスンの元常務でサムスン躍進のための情報系の基盤造りに貢献した吉川さんと失敗学の創設者(?)の東京大学の畑村名誉教授の共著です。吉川さんがなぜサムスンで働いたのか疑問だったのですが、本著でよくわかりましたし、その経緯自体がサムスンの飛躍そのものに結び付くものでした。財閥としてオーナーが大胆に方向性を示すことでの成功であったと言えます。オーナーの指示だから鶴の一言で変わるものかと思っていました。実際、私がサムスンで仕事をしていた時は、上下ラインが極めて強くまた速いと感じたものでしたが、以前はそうではなく、だからこそ危機的と捉えたオーナー李健熙(イゴンヒ)会長による大改革があったのです。サムソンの歴史を理解するのに役立つとともに、日本のこれからを考える参考にもなる一冊です。ただ、2009年の発行ですので、一部の内容は少し陳腐化しています。その部分も、未来予想がずれたと解釈してみるのも面白い読み方かもしれません。

さて、サムスンとサムスン電子の違いはおわかりでしょうか? 私はサムスンで仕事をしてましたが、サムスン電子の仕事ではありませんでした。種明かしは、サムスングループとその構成企業の違いです。日本人の捉えているサムスンと韓国人の捉え方も差があります。コラムの欄でご紹介したいと思います。

「マーケティング・イノベーションの始まり」和田浩子

書籍ではなく、雑誌のコラムです。

長きに渡りP&Gでマーケティングに従事された方による「成形加工」2019年2月号のコラムです。ファブリーズのCMは皆さんすぐに思い浮かべることができるのではないでしょうか?おそらくはそれもP&Gのブランド・マーケティングによるものなのでしょうね。

知ってもらって、試してみたいと思ってもらって、試したら良かったから続けたい、まさに個人事務所の運営で、もっとも実践したいことです。コラムの中の、マーケティングはどのように学ぶのか、に関する内容は、トヨタで行われているトヨタ式の仕事の方法の会得と同じことが書いてありました。すなわち、OJTしかない、手取り足取りで継続伝承されると。
トヨタ生産方式の導入がなかなかうまくいかないのは、結局はOJTができないからです。その会社や職場になじんでこそOJTが始められます。カイゼンやTPSのコンサル会社はどうにも胡散臭いです。モノを見る、流れを見る、無駄を見つける、そのための現地現物と言ってますが、まずは人を見ないといけません。

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