ナカニシ自動車産業リサーチ代表・中西孝樹氏の最新書のご紹介です。
トヨタ対中国EV 熾烈な競争が最強メーカーを生む | 中西孝樹 || Amazon

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自動車産業の未来を考えるうえで、必読の一冊です。EV化、自動運転、生成AI、環境規制といった巨大な潮流が、従来の競争構造を根底から変えつつある現状を、鋭い分析で描いています。
先日の、当社主催の中国自動車産業視察での往復フライトでも読んでました。念のために、カバーをかけて表紙が見えないように配慮しました。写真右がまさに持参した状態です。

この手の本は旬があるので大事に書棚に保管することなく、書き込みだらけにして、じっくり&しっかりと参考にしていきましょう。

本書のオリジナリティの高さは、中国EVメーカーの急成長とトヨタの戦略を軸に、世界の産業構造変化を俯瞰している点です。今後の日本メーカーの生き残り方を考えるうえで示唆に富んでいます。一方で、ではどうすべきかという大きな投げかけにも気づかされるところです。
なお、本書における
「トヨタ」は、日系および伝統的自動車メーカーの代表
と読み替えることで一般解として理解できます。
また
「中国EV」は、中国の産官学の集合体
として捉えると、本書の示唆は一層大きくなります。
読み終えた直後に、同氏の講演を聴講する機会があり、短時間、情報交換しました。また、当社主催の中国自動車産業視察ツアーの調査結果も踏まえながら、書籍を紹介いたします。
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本書の目次と それぞれの章へのコメント
- 世界の自動車産業でいま何が起こっているのか
- 中国最強メーカーの実像
- 中国モビリティ戦略の本質
- トヨタの内なる戦い
- 米国トランプ政権の自動車産業政策
- 中国世界侵攻の最前線
- 「油電同強」――トヨタの中国戦略
- トヨタのSDVバリューチェーン戦略
- 国内自動車産業の命運
第1章
Huaweiに象徴されるTier0.5の台頭
HuaweiはSDVやスマートコックピットで優位性を示し、OEMの上位レイヤーに位置する「Tier0.5」として振る舞っています。私は上海の準旗艦店を視察し、複数ブランドの展示車両を確認しましたが、Huaweiが既存OEMの上に立つプラットフォーム提供者として君臨している印象は強烈でした。本書の定義に加え、私は「Tier-1(マイナスワン)」と呼びたいほどです。さらに、BYDのコスト優位性やVWの「In China, For China」戦略も、日本企業が理解すべき重要なポイントです。
表1-6の中国EVメーカーの4分類もわかりやすい視点です。 以下は、当社のツアーからです。

第2章
中国主要プレイヤーと日本への宿題
BYD、Geely、Xiaomi、Huaweiなど、中国勢の事業設計と実装力は圧倒的です。垂直統合によるコスト競争力、ソフト起点の拡張、プラットフォーム支配など、いずれも日本企業が苦手とする領域で優位を築いています。読後に残るのは「日本はどう応戦するか」という重い課題です。意思決定の遅れと資源移動の不十分さは、競争力を致命的に損ないます。
第3章
SDV/NOAとDigital China
NOA(Navigation on Autopilot)やSDVは、中国の国家OS「Digital China」と親和性が高く、モビリティ×データ×都市インフラの統合が進んでいます。インドの動向も引き合いに出しながら、地政学的に日本はどのようなスタンスをとるべきか、われわれ読者に投げかけています。
第4章
トヨタの内なる戦い
トヨタに関しての記載は、私の見解よりはややマイルドです。今後の取材などを考えるとあまり辛辣なことは言えない点、よく理解できます。さて、証券業界出身のアナリストの本領発揮の視点で、トヨタはROE20%を掲げ、新車販売よりもバリューチェーン(VC)収益を重視する戦略に転換する点に注目しています。
第5章
トランプ関税
私の興味の薄い点であり、今読み返してもあまりチェックや書き込みが見られませんでした。TACOですので、いちいち気にしても仕方ありません。
第6章
中国の世界侵攻 タイの状況など
BYDのタイや日本進出、またインドビジネスの可能性を述べています。先日の中西氏の講演は、タイのMotor Expoから帰国直後でした。トヨタ以外の日系に勢いがなく、一方で中国BEVの勢いは目を見張るものとのコメントがありました。弊社も昨年同展示会を取材し同様の所感を得ています。2025年の主催者発表の期間中の販売台数を集計しました。
バンコク MOTOR EXPO 2025 中国EVさらに増加、トヨタ以外の日系は壊滅的
期間中の販売車75,246台に占める中国の割合は58%へと大幅に増加、一方で日系のシェアは36%に低下しています。中西氏は本書で「(タイで)守れるか日本のサプライチェーン」との懸念も示しています。8月3日付けの日経新聞一面で、タイトヨタが中国製の材料や金型を採用するとともに、現地の日系サプライヤーに対しても同様の採用を働きかける、との記事は、私にとっては衝撃的でした。この実情調査に関してもセミナーで紹介の予定です。
以下は当社の昨年の取材から。

第7章
トヨタの中国戦略
わかりやすく整理してありぜひともお読みいただきたい章です。「油田同強」という言葉は初めて目にしましたが、確かに、トヨタの中国版マルチパスウエイを言い表すには適した言葉です。中国での開発体制や「IEM by Toyota」に着目していますが、私も同様に注目しています。LEXUS上海の動向も注視しています。
第8章
トヨタの収益構造の変革
第4章で触れたようにVC主体の修正構造に変化する点に着眼しています。その例としてKINTOに着目しており私と同様の着眼です。私は株主総会で宮崎副社長自ら「今後はVC利益が新車販売利益を上回ってくる」と述べた点に注目しました。11月にはトヨタがモデルチェンジ周期を7年から9年に延長するとの報道もありました。これらはハード販売からソフト・サブスク・アフターサービスへのシフトを意味し、日本の部品・材料サプライヤーにとって構造的な危機です。
第9章
国内自動車産業の命運
図表9-5は、日本の産業構造の危機を突きつけます。ご覧になった方々の悲鳴・ため息・唸り声が聞こえる気がします。もちろん、ウラから見れば、次なる戦略のヒントが透けて見えるはずです。
トヨタ対中国EV 熾烈な競争が最強メーカーを生む | 中西孝樹 || Amazon

他のジャーナリスト等に比べ、かなり踏み込んで日本自動車産業の危機に言及しています。私の視点に近いものでした。ただ、既にもう一段危機的な状況に至っていると判断しており、冒頭でもご紹介しましたが、以下のセミナーで解説いたします。
【対面セミナー】2月9日 自動車ビジネス大変革時代 日本の「各社」への警鐘
次回の「書籍紹介」
『上司 豊田章男 トヨタらしさを取り戻す闘い 5012日の全記録』
年末年始に読み年初にご紹介の予定です。
上司 豊田章男 トヨタらしさを取り戻す闘い 5012日の全記録 | 藤井 英樹| Amazon

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