日常で見かけ始めたバイオプラ

この4月から「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が施行されました。
プラスチックという素材を資源循環など適正利用のための法律でその製品の設計や製造から廃棄物の処理までのライフサイクル全体を対象としています。
たとえば、ワンウェイの利用は2030年までに25%削減を目指しています。

ホテルでの使い捨て歯ブラシやヘアーブラシの削減も求められるようになり、最近は部屋に備品として設置せずに、フロントわきから必要な人だけが持っていくようなスタイルへの変更が目に付いてます。

日常で見かけたバイオプラ

日常でもバイオ由来のプラスチック製品を目にする機会も増えてきました。
プラスチックの適正利用の大きな目的は地球温暖化に繋がる炭酸ガス放出量の削減であり、
そのためには石油由来から、実質的炭酸ガス放出量がゼロとなる植物由来への切換もひとつの方策です。
バイオプラはコスト高となりますが、上述の社会的背景もあり、その活用が徐々に増えているようです。

最近見かけた3例を紹介します。 中華料理屋のテイクアウトに付属していたバイオプラのレンゲ

材質表示としては「プラ」の下の、PPとあり、ポリプロピレンです。
裏には、BPマークと共にバイオプラの登録番号が記載されています。
BPマークを運用している日本バイオプラスチック協会のウェブサイトでは、この登録番号として以下のような記載があります。

通販の梱包材

通販で購入した商品の梱包材として写真のような緩衝材が入っていました

記載のマークはトリッキーで、プラ記号の下にPEとありますが、よく見ると「個包袋BAG」に関するものです。
緩衝材に関しては「RETURN TO NATURE」「REUSE]とのマークがあります。
これは認定マークではなく自主マークでしょう。説明として、Eco-Stick「原材料は工業用澱粉と自然分解性樹脂」とあります。
一見もっともな説明ですが、

緩衝材として発泡されており単純な植物性とは思われません。
どのような材料でなぜ自然分解するかなどは読み取れません。

カタログ持ち帰り用のプラ袋

環境問題への取組みの先端的企業ともいえる三菱ケミカルの製品です。
各種のバイオ材を商用化していますが、この袋には、BioPBSが使用されていることとその説明が明記されています。

BioPBSは植物由来であり、かつ生分解性があります。植物由来と生分解性は異なる性質です。

植物由来の場合、石油由来と異なり焼却しても炭酸ガスが新規に増加することにはなりません。
なお、これは材料としての視点です。加工の際に使用したエネルギーはそのエネルギーの由来に依存します。

生分解性はリサイクルにかかわる視点です。
仮に不適切に流出した場合でも最終的には分解されるため、たとえば海洋プラスチック問題等にはつながりにくい材料となります。
前述の緩衝材も同様の性質があるとされていました。
どの程度の期間で分解されるのかは興味のあるところです。この2材料で実験してみようかと思います。

複数の認定機関と基準の違いが問題

経産省のバイオ小委員の資料によると複数のバイオプラ認定機関があります。

それぞれの認定基準が異なっていることが課題です。

日本バイオプラスチック協会の規定では、25%以上が植物由来の材料ということになります。
先のレンゲのPPは重量で25%以上が植物由来と判断できます。
一方で同様のバイオプラマークは日本有機資源協会でも運用していますが、経産省の資料によると、こちらは10%以上が植物由来であればOKのようです。

各機関の会員になるのも有料、認定料も有料、なおかつ時限があり再申請も必要なようです。
ただでさえ高価で普及が進みにくいバイオ材、この辺りのハンドリングも透明性を高めてなおかつ複数協会があるのなら競争原理でコスト対効果を高めてほしいところです。

何よりも、外的に見て基準も含めた価値が客観視できることが重要です。