イビデン株主総会 出席 ~自動車電動化の影響~

前日のトヨタ自動車の株主総会への出席に引き続いての、二日連続での出席となりました。
総会での社長の発言が衝撃的です。既にイビデンの業績にも自動車の電動化の影響が表れているとの報告がありました。同様な影響は広く各種の自動車部品や材料、関連企業で出始めてると推察され、またその影響は、当社の海外動向調査などを見ると、加速度的な拡大が想定されるところです。

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1.総会の雰囲気

同社の株主総会は初出席となります。イビデンの本社にも初めて来ました。養老鉄道の西大垣のすぐ目の前です。あたかも、同駅はイビデン用の駅のようです。

会場の株主席はおよそ150人程度、うち前方の1/3程度は、しっかりとスーツを着た人々が着座しており、法人株主の各社代表のようです。その後方は私服の方々で、定年後という風情の方が主体でした。

イビデン本社の2階が総会会場

2.経営状況概要と大型投資

4期連続での増収増益です。今期は減収減益を予想しているために、個人株主の方から質問が出ました。

出典:株主招集通知

社長からは、過去最大の大型投資2件を進行中であり、その影響であるが、翌年から回復し、さらにその翌年2025年度からは大幅な増収を予想しているとの回答でした。半導体パッケージ生産対応として、河間事業場の新棟増築(投資額1800億円)、大野事業場の新設(投資額2500億円、国からも405億円の助成金)が進んでいます。

3.在来の自動車向けセラミック部品は赤信号

売上の6割を占める半導体関連は順調です。一方で、売り上げの2割を占めるセラミック事業の内、触媒関連のセラミック部品は赤信号が灯ったようです。欧州乗用車向けを中心に、EV化の流れで売り上げが減少を始めており、売上以上に利益を圧迫し始めています。

出典:株主招集通知

イビデン自体は、前述の大型投資もあって、半導体関連でセラミックの減収分をはるかに上回る増収が予想されます。

自動車部品産業の転換が急務

前述のような化石燃料を使用する車専用の自動車部品は、戦略的な事業見直しが急務です。日本国内では感じ取れないほどのEV化が進んでいます。
 新車におけるEV車販売比率(2022年) 当社集計
 ・グローバル 約10%
 ・中国 約20%

 ・欧州 約12%

 ・北米 約12%

 ・日本 約1.4%

たとえば、デンソーは燃料ポンプ事業を愛三工業に譲渡しました。デンソーは新規事業に集中し、一方の愛三工業は数を集めての利益率確保です。

愛三工業ニュースリリース フューエルポンプモジュール事業のデンソーからの譲受


ガソリン供給系、ガソリンタンク、エンジン、排気管等は徐々に縮小します。事業転換準備が急務です。

e-FUELや水素エンジンへの期待は幻想

このところ、合成燃料(再生可能エネルギーで製造したものは特にe-FUELと呼称)や水素エンジンの話題が増えています。

ごく一部のエンジン車のみの対応と考えられます。したがって、エンジン車関連部品の供給量の減少は避けることができない状況でしょう。
普及が進まない原因は、もっぱら、クリーンなエネルギー源のコスト問題です。e-FUELは製造コストの高さゆえに、市販価格は現ガソリンの2-3倍程度と予測します。炭酸ガスを排出しない方法で製造した水素のコストも(特に再生可能エネルギー開発が遅れている日本では)同様でしょう。水素エンジンの市販車向け開発課題、たとえば、燃料制御や燃費効率、排ガス処理、水素の搭載方法も大きなハードルです。

参考情報:EU エンジン車の継続販売容認 脱炭素燃料(合成燃料.e-fuel)の限定で

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