世界で最も売れているFCEVはHyundaiのNEXOであり、最も普及している国は韓国です。2023年9月の韓国の現地調査の際にも日に数台のNEXOを見かけました。日本でトヨタのMIRAIを見かけるよりもはるかに高い頻度でした。先週、韓国でFCEV普及状況ならびにその背景を調査しました。

<目次>

1.2024年の乗用車系FCEV販売台数

2.韓国で 水素ステーションとFCEV普及状況を調査

3.水素ステーション運用状況 10分に1台充填 年中無休で深夜まで

4.水素価格は日本の半額

5.水素燃料乗用車・バスともに普及が進んでいる

6. その他 FCEV普及の背景/高圧水素タンク動向/新型NEXO

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1.2024年の乗用車系FCEV販売台数

当社では継続的に水素燃料自動車(FCEV)の動向を調査しています。現在、購入可能な乗用車系FCEVは以下となります。


昨年の乗用車系の販売台数は以下でレポートしています。

水素燃料自動車(FCEV) 2024年 年間販売台数 水素エネルギ社会(57)

各社ごとの年間販売台数は

  • Hyundai グローバルで2774台(うち韓国国内 2751台、輸出比率0.8%)
  • トヨタ  グローバルで1778台(うち日本国内 676台、輸出比率62%)
  • ホンダ  グローバル台数非公開(日本国内 33台、ただし10月から)

です。

冒頭で記載したように、世界で最も売れているFCEVはHyundaiのNEXOであり、最も普及している国は韓国となります。

2.韓国で 水素ステーションとFCEV普及状況を調査

2025年5月8日(木)
国会議事堂付近で調査 水素ステーションとFCEV普及状況

写真は上から、国会議事堂、議事堂前水素ステーション、充填中のNEXO

5月11(日)
仁川駅前 FCバス普及状況

写真は上から、仁川駅舎、駅前通り、駅正面の中華街入口

3.水素ステーション運用状況 10分に1台充填 年中無休で深夜まで

国会議事堂入口からわずか100m南西に位置します。片側4車線の道路に面しています。写真はステーション前の道路です。真向かいにガソリンスタンドがあります。
ちょうど、NEXOがステーションに入る瞬間です


30分ほどの観察中に、3台充填しました。同時に2台という瞬間もありました。1時間当たり6台程度とかなりの高頻度です

充填口は2か所あります。ただ、2台目が来た際に同時充填はせずに待たせていました。

充填開始から終了まで、5分はかかっていないようです。また、待たせることなく次々に充填している様子から、相当量の高圧水素を貯蔵しているものと考えられます。ちなみに貯蔵能力が低いステーションでは、再充填までに30分程度待つ必要があります。
このステーションのように次から次に充填するためには

・水素圧縮機
・圧縮水素ストレージ
・充填水素冷却のためのプレクーラー

すべてが十分な能力とする必要があります。NEXOは70MPaタンクですので、当然ステーションも70MPa仕様です。
充填には資格をもった要員にての対応が必要です。写真を確認ください。このステーションには2名いました。

運用時間は平日が8時から24時、土日が8時から22時で、昼休みはありません。(日本の多くでは9時から17時で、昼休み1時間あり。週に1-2日休日あり)

日本と比較すると明らかに利便性は高いです

4.水素価格は日本の半額

このステーションは水素1kg当り9900WON、約1000円です。日本は以前は1200円程度でしたが、昨年大幅に値上げし、1700-2100円程度となっています。

営業車(バス・トラック)向けの価格は1割程度高く設定してありました。

下表は韓国環境部のリストです。
5月2日の時点で充填ステーション数220か所でした。営業時間は8時から20時、価格は8800~12000WONが一般的です。

5.水素燃料乗用車・バスともに普及が進んでいる

30分ほどの観察中に充填車両以外(車両ナンバーで確認)にNEXOを2台ほど見かけました。2023年9月の調査の際は日に数台という状況でしたので、あきらかに普及は進んでいます。

特に水素燃料バスの普及が進んでいました。仁川駅前を走行している路線バスの内訳は、EVが3-4割、FCが1-2割、残りが従来の内燃機関バスのようです。FCバスを年間数百台導入するという計画が進んでいました。

6.その他 FCEV普及の背景/高圧水素タンク動向/新型NEXO

FCEVビジネスに関連している地元の商社を訪問し意見交換をしました。
・なぜ韓国でFCEVが普及するのか、その背景
・Hyundaiへの高圧水素タンクのサプライヤの変遷
・燃料電池の開発主体
等の情報を得ることができました。
日韓の政策差等、普及動向の差が見えてきました。

なお、4月初めに発表された新型NEXOに関しては、Hyundaiの担当者が発売直前で多忙のため現地での具体的な調査はできませんでした。

これらに関しては、今後のセミナーや各種執筆でご紹介を予定しております。個社向けのセミナーでの解説も準備してありますので、お気軽にお問い合わせください。

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