水素エネルギー社会(32) 日韓 水素ステーション比較

Hyundai NEXOとトヨタMIRAIに試乗した際、適当な水素ステーションが無かった

燃料電池自動車(FCEV)試乗をレポートしました。
水素充填もトライするつもりでしたが、適当な場所に水素ステーションが無くて諦めました。

世界の次世代車 試乗② Hyundai FCEV NEXO(その2)

世界の次世代車 試乗③ トヨタ自動車 ミライ(初代)試乗レポート

韓国国内では日本国内の4倍普及している燃料電池車

2021年のHyundai NEXOとトヨタMIRAI(新型)のグローバル販売台数を調べたところ、NEXOが約2倍売れていました。

水素エネルギ社会(29)新型ミライの2倍売れているFCEV

それぞれの国内販売台数を比較すると、韓国では日本の4倍普及しているようです。
日本では水素ステーション探しに苦労したので、日韓の水素ステーションの普及状況を調査しました。

韓国の水素ステーション普及状況

韓国の方に韓国での水素ステーションの探し方を教えてもらいました。韓国環境部(日本の環境省相当)のサイトで検索できます。

저공해차 통합누리집 (ev.or.kr)

右下のアイコンが「水素充填所検索」となってます。

クリックすると、端末(携帯やPC)のGPS情報とのリンク可否を尋ねられます。日本からのアクセスでは、リンクOKとしても特に変化はなかったですが、韓国国内では最寄りの地図が表示されるようです。
韓国全土を表示することで、国内での分布がわかります。これによると、ソウル周辺と釜山周辺に集中しており、一方、北東海岸部にはほとんどありません。韓国は日本以上に人口が集中してますので、実用上の人工カバー率は9割近いかもしれません。

参考までに以前住んでいた場所(ソウル南方のアニャン市)近傍の水素ステーションを調べてみました。
30km圏内(片道15km)は1か所だけでしたが、50km圏内まで拡大すると9か所あります。

各ステーションをクリックすると詳細がポップアップ表示されます。
運営会社名、住所、営業時間、販売価格が表示されます。一般的には年中無休で8-20時の営業です。価格は1kg当たり7800から8800ウオンですので、0.1円/ウオン換算で780から880円です。価格は日本(1000~1100円)より2割程度安いことになります。

日本の水素ステーション普及状況

トヨタ自動車が独自に運営しているサイトがもっとも実用的なようです。自分のいる場所からの最寄りステーションが表示されます。

トヨタ MIRAI | 水素ステーション | トヨタ自動車WEBサイト (toyota.jp)

ただ、トヨタのサイトでは、広範囲表示とするとステーション表示タグが重なってしまい、全国分布はわかりませんでした。

一般社団法人 次世代自動車新興センター(NeV)のサイトでもステーションのMAP表示ができるようですが、
「エラーでMAP表示は使えません」と表示されます。実際、『Google Mapの設定エラー』が表示されます。ここ2週間ほど見ていますが、エラーはまだ改善されていません。
このMAPでは全国分布が見やすいので、無理やり見てみました。以下の地図です。

首都圏の水素ステーション一覧|水素ステーション普及状況|一般社団法人次世代自動車振興センター (cev-pc.or.jp)

首都圏・中京圏に集中しています。仙台以北は4か所のみです。
青森・岩手・秋田・山形、山陰地方、四国西部、沖縄にはステーションがありません。
首都圏と名古屋・大阪周辺以外ではFCVは実用的でないようです。

さて、実は、この分布MAPには、大変な落とし穴があります。一見ステーションがたくさんあるように見えますが、週に2時間だけというステーションが神奈川県を中心に10か所ほど(首都圏の2割くらい)あるようです。

さらに、ほぼすべてのスタンドは週休1~2日の上に営業時間も9-17時が大半です。会社帰りに18時に充填はできませんし、多くは土日休業です。一方で韓国は前述したように年中無休で8-20時の営業が大半です。
これで、MIRAIやNEXOに試乗したときに、水素ステーションで充填できなかった謎が解けました。分布MAP上はたくさんあるのですが、時刻を指定するとその時刻に運用している近傍のステーションがなかったということです。
なお、さきほどのNeVのサイトの地図の狙いは、タイトルにもあるように、整備状況を示すものであり、ユーザのための利用ステーション検索用ではありません。
再度、トヨタ自動車のサイトを活用し、日曜日に利用可能なステーションを検索しました。もっとも充実している中京圏、名古屋駅から30km圏内には、10か所あります。一方で以前住んでいた宇都宮駅から30km圏内は1か所もありません。

ユーザ目線の韓国と真剣度が足りない日本

少し、刺激的なタイトルにしましたが、真剣さが違うようです。
ユーザの立場に立てば、また、本当に普及させるつもりなら、韓国の環境部のサイトのような使いやすい検索サイトを用意するでしょう。 
日韓の本気度が違います、それゆえに、韓国では日本の4倍も販売できているのですね。

FCEVに興味ある方は以下もご参照ください。

アーカイブ: 水素エネルギ社会

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