仕事に限らず、ある意味ですべての基本です。適確に相互に意思疎通が可能であれば、場合によっては自分の分身ができたように、仕事がはかどります。一方、不十分な場合には、目的に叶わないアウトプットとなりやり直しとなることもあります。

説明しているより自分でやったほうが速いと感じることも多いものです。しかし自分でやれる量には限界があります。コミュニケーションで仲間を増やすことが出来れば、自分の考えている仕事を手広く実現できることになります。

常識の非常識

常識という考え方は大変に危険です。トラブルが発生した折に、「そんなの常識でしょ?どうしてやらなかったの?」という会話はよく聞きますね。特に、立場の強い方の発言として。
常識として認識するためには、それまでの背景や歴史、考え方などを自然発生的に共有している必要があります。トヨタ社内業務においては実に多くの常識に助けられました。ただし、そう気づいたのはトヨタ自動車を出てからです。説明の必要がないであろう、常識的に知っているであろうと思い説明を省力すると、意図しない結果となったり、そもそも仕事が進まないということがありました。そんなことは常識だと思うことが非常識で、かつ、不遜なことです。
コミュニケーションにも通じることですが、会話の最初に、目線合わせ、理解度や背景認識の確認を確実に実施することです。「ご存知かと思いますが・・・」「ご存知かもしれませんが・・・」というような会話からのスタートです。

相手の立場、相手の常識

より良く理解してもらうため、確実に説得するためには、相手の立場を十分に理解しましょう。説得したい、提案したい、主張したいというときは、とかく自分が中心と考えがちですが、相手の賛同を得て仲間になってもらうためには、どのような立場なのかを理解することは重要です。たとえば、相手が予算の総括的な管理者であるとすると、全体バランスの中での予算の割り振りを考えるという立場ですから、限られた予算の中でもあなたの提案・主張の優先順位の高さを感じ取っていただけるように説明することが効果的です。

同時に相手の常識を推し量りながら、その常識の尺度に合った説明とすることも有用です。
文系出身の担当者から理解を得るためには、場合によってはごく簡単に技術的解説を織り込み自分事として判断いただけるようなど工夫します。常識の外の世界での説明は、他人ごとに聞こえますし、共感しにくいものです。相手と同じステージに立ち、仲間になって説明するということです。

信頼感

これも仕事に限らず基本的なことです。

困りごとを報告した際に、親身になって相談に乗ってもらえるならば、安心して報告できます。また、義務的報告事項は報告されますが、それを上回る情報が聞こえてくるようになります。「お知らせしておいたほうがよろしいかと思いまして。実は・・・」という感じです。

逆のケースです。TPSを導入した企業で、不良の見える化として不良状況を現場に貼り出したところ、役員が烈火のごとく怒り、「さっさと不良を無くせ」と怒鳴り込んできました。簡単に不良対策できるなら対策してます。不良の定義の明確化、不良対策に取り組んでいる姿勢を示す、経験者からの意見を受けるためなどなど、見える化の狙いがありますが、信頼があればこそできることです。

信頼感が無い場合、極端なケースでは不良を無きものとしてしまいます。

TPSの導入指導を相談いただく際は、かならず現場と経営層の信頼関係を調査します。

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