トヨタ時代に経験したことに基づく業務プロセス要素は、このライブラリにまとめてます。
注目度の高い言葉として、「トヨタ生産方式」という言葉でくくっていますが、生産に限らず、あらゆるシーンで役に立つ考え方です。
その意味では、「トヨタ式」とお考え下さい。

業務プロセス要素として、一般化してまとめてあります。

事実の把握

真心があれば、真剣であれば、事実の把握はできるのでしょうか?
結論から言ってノーです! 

数多くの不良対策に取り組んできましたが、今、目の前にある不良という事実の把握も難しいものでした。立場によって認識が違ったり、ときには不良ではないと判断する人もいるということもありました。また、「最近不良が増えた気がする」という検査員Aに対して、検査員Bも「そう思う」といった場合でも、実は違う不良を対象にしていたり、極端な場合は違う部品の不良を話題にしていたり、といったような状況です。
しかも認識違いには悪意はなく、むしろ、ともに不良は対策したいという思いがあるから事態を複雑にしています。ましてや、仕入先・納入先などと会社が違う場合は、なおさらです。

さて、どうしたらいいのでしょうか? 
個々人が認識している「事実」を明確に定義することが重要です。
そしてそれは、新規の取り組みの際には、関係者全員で定義することが必要です。

現地現物

事実の認識合わせに絶大な力を発するのは、現地現物です。加工プロセスが進行しているその現場、はたまた、不良部品と言われている現物を見ることで同じ視点で認識することが可能となります。
現地現物は誰でも知っている業務プロセス要素ですが、その徹底は気の遠くなるほどの努力が必要です。トヨタ時代は実に当たり前のように日々取り組んでました。しかし、トヨタ時代の仕入先さんなど社外の方とかかわる際、あるいはトヨタを離れてからの業務では、現地現物とは何かという基礎的な考え方の理解活動から着手する必要があることに気づきました。

現地現物の考え方をご理解いただき、実践して効果を得るためには、やはり、現場に出向いて考え方を説明する以外には手はないと思っています。

見える化

事実の認識合わせができたら、その事実を誰でも見えるように見える化する、これもトヨタ式です。誰でもいつでも見える、これは実に安心なことなるのです。そして自信がなければできないことでもあります。トヨタの現場、あるいはトヨタ生産方式(TPS)を導入している企業では、製造現場には、日々の(場合によっては1時間ごとの)不良の推移が見える化されてます。折れ線グラフで表示されており、不良が減少方向なのか現状維持なのか、瞬間的に判断ができます。目標不良率を上回っている状況であれば、現場では必然的に不良対策のアクションが始まり、不良の増加方向が見えてきた時も同様です。

新規部品開発のマネージャ時代に、開発が遅れ、ターゲット車種での採用に間に合いそうにないことがありました。開発項目、その目標日程、それに担当者が一目でわかる開発日程表を作成し、たたみ一畳ほどのボードに書いて貼り出して管理したこともあります。毎朝このボードの前で打合せして遅れ気味の項目には、比較的余裕がある担当者をアサインするなどして、メンバーで一丸で対応したこともあります。情報を見える化することは信頼性を醸成することにもつながります。

見える化の大きな効果は、このように自発的な運営につながることでもあります。それはまた、気づかずに実行している自己啓発でもあるのです。

火急の課題が不良対策であったとしても、このようなアプローチで対応することは、人材育成、企業体力の向上につながっていきます。

信頼感

あれ?同じ現象のことを話しているのかな? 不良の実態を赤裸々に表示すると叱られはしないだろうか?
このような不安があるときには、事実の認識に迷いを生じたり、不良推移のグラフの提示などはかなりの抵抗が予想されます。
上下関係や周辺部署との信頼関係が前提となります。たとえ不良が発生しても、力合わせて撲滅できるという信頼感は大変に重要です。

不良の多い職場に激怒した経営者が、不良グラフの見える化を指示して、事あるごとに檄を飛ばしたところ、そのたびに不良率は低下しました。
さて、本当に不良が減ったのでしょうか? 私だったら、鬼のような経営者は怖くて怖くてしょうがないので、とりあえずのその場しのぎで不良率算出基準を変えちゃって、不良品はさっさと捨ててしまうかもしれません。脚色してありますが、そのような実態もあるのです。

TSPの導入は大変にハードルが高く、苦労するものです。そしてそれは第一線の現場の作業者とその方々を直接に管理している管理者層にものすごい負担となります。その苦労を乗り越えた後の「うれしさ」を共有できる信頼性がある職場でこそ成功するものです。
TPSの導入のご相談をいただくときは、職場の信頼性のお話からお伺いしております。

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