トヨタとサムスンの違い(5)

今回は博士号についての話題です。

何度か触れてきたように、サムスンとは企業集団で、我々日本人が認識しているサムスン電子は、そのうちのひとつの構成会社です。もっとと、グループの売り上げの半分以上を占め、主要経営陣を排出したりしていますので、サムスン電子だけを見ていても大きくとらえ違いはないでしょうが。

私が勤務したサムスンは、エンジニアリングプラスチックの研究所でした。入社当時は第一毛織、のちにサムスングループ内の事業再編でサムスンSDIに事業移管されましたが。ちなみにわたしが退社したその月に、ロッテ(韓国のグループ企業、日本のお菓子のロッテから発展)に事業売却され、今現在はロッテケミカルとなりました。

さて、研究所という環境もあったのでしょうが、入社してみると周りは博士だらけでした。しかも、樹脂研究では世界最高峰とも言える、アクロン大学等の海外博士号取得者も多数いました。感覚的には、3,4割が博士号取得しており、その1/3は海外での取得者のようでした。博士号取得に重きを置くのは韓国全体の風潮でした。特にサムスングループへの就職のためには、海外博士号取得とうコースを選ぶ人も多いようです。

私自身は、トヨタ時代に、自費・自主的に博士号を取得しました。ただ、取得に格段の熱意があったわけではなく、話の流れでなんとなく取得しました。俗に、足の裏のご飯粒(取っても食えないが、取らないと気になる)と揶揄されますが、それほど取得にこだわりはありませんでした。

トヨタ自動車での博士号保有率は、近年格段に上昇していますが、それでも数%程度です。サムスンと比較すると10分の1から5分の1程度ではないでしょうか?トヨタでの社命での博士号取得はほぼ皆無です。一方、今は格段に少なくなったようですが、日産では社命留学等で取得する例が結構ありました。ただ、多くの方は、すでに日産を去ってしまったようにもお見受けしております。一時、ホンダにも関連しましたが、総じて日本のカーメーカでの博士号保有率は数%でしょう。

なお、私自身は、博士号取得後に、いろいろと得をしたように感じてます。「チャンスがあるのでしたら、ぜひ取得されてはいかがですか」とアドバイスします。

2018年4月の文科省の資料によりますと、2013年時点の各国の保有率は、人口100万人当たりで、
 アメリカ 260人、 ドイツ 345人、 イギリス 335人、 
 韓国 280人、 中国 40人  に対して、
 日本は 110人
とのことです。
一概に、保有率が高ければいいということではありませんが。

社会構造に起因する部分も大きいものと考えております。そしれそれが日本の生産性を高くできない問題点となっています。
この件は、また別途記載します。