水素エネルギー社会(7)東レ FCV用CF増産 航空機からシフト

東レが炭素繊維(CF)の生産割合を変える計画のようです。航空機用途からFCVの高圧水素タンク用への用途シフトです。

ボーイング787は機体の大半がCFRPであり、主要部位を三菱重工、川崎重工、スバル等の日本のメーカが製造しています。当然、東レのCFも大量に使われてきたところです。しかし新型コロナウイルス蔓延の影響で航空機需要が大幅に落ち込んでいます。当然、東レにとっても大打撃かと思っていた矢先の発表でした。トヨタはこの年末に新型MIRAI発売予定であり、本格的に市販を始めます。すでにこのための高圧水素タンク製造工場を同社の下山工場に設置しました。下山工場はエンジン工場でしたが、その工場をスクラップして、FCV車用のタンク工場をビルドしたわけです。

三菱重工は、この2月に787用の主翼の1000号機向け出荷セレモニを実施したところですが、生産数の鈍化は残念なところです。ただ、需要回復は数年、あるいは十数年かかるかもしれない状況で、東レの決断はごく当然のことでしょう。

写真はサイクリング途上に撮影した写真です。まさに、出荷セレモニを行った三菱重工の大江工場が、サイクリングコースにあります。

このほぼ対面に東レの名古屋第一工場があります。ここには、A&Aセンタが併設されています。

A&Aセンタとは、
 ・アドバンスドコンポジットセンター(ACC)
     基材・成形技術開発
 ・オートモーティブセンター(AMC)
     自動車向け先端材料ならびに成形・設計関連の総合技術開発

さて、北米におけるCFの最大の用途は、高圧タンク容器向けとのことです。昨年のプラスチック成形加工学会の年次大会にての、東レの須賀常務(当時)の基調講演からの情報です。

今回の東レの用途シフトは、水素エネルギ社会向けともなっています。

このような最新情報も含めて、サイエンス&テクノロジー株式会社主催のCFRP入門セミナを企画しました。入門編ながら、最新の低コスト成形技術や次世代計測方法、さらに、FCV・EVの今後の方向性とCFRPへの期待といったトレンド情報を含めての講演を予定しています。

ぜひ聴講をご検討ください。