豊田中央研究所 菊地昇先生のご講演

オンラインで、菊地先生のご講演を視聴!

しばらくぶりでご講演を聞きました。
相も変わらず、グイグイと引き付ける内容と話術で、あっというまの1時間5分でした。
オンラインで、無料でこんなステキな講演が聴けるというのも、ある意味、今の時代のDXかもしれません。

2月12日17時まで視聴できるようですので、オンライン展示会への申込が必要とはなりますが、ぜひぜひ、ご視聴ください。
以下のリンクから、内容のご確認、セミナのお申込みができます。

菊地先生のご講演

バーチャル Techno-Frontier 2021 冬 /一般社団法人日本能率協会 主催

実際にご視聴いただければと思いますので、ご講演内容に深くは触れませんが、企業の中央研究所の在り方、日本の研究者のある意味の危うさなど、ミシガン大学という海外から長年日本を見てきたからこそのご意見です。

ケロッグやドミノ・ピザの発祥のお話し

ご講演の中ほどでのお話です。なるほど、そんな着眼で始めたのかーーと感心したら納得したり。そして、新しい技術に背を向けたBig3、イノベーションの中心がミシガン周辺からカリフォルニアに移った話と対比で捉えると、今後の研究の着眼の在り方が見えてきます。

今にして思えば大変に貴重な機会でしたが、何度も菊地先生と二人だけで雑談することがありました。ときには、秘書の方が「先生、次のお打合せが始まります」と呼び出しに来るまで、2時間近くお話をされることもありました。とにかく話題が豊富で、かつ独自の視点でのお話で、自身の仕事にも多大な影響を受けました。

初めてお会いしたのは、2000年前後、ミシガン大学の教授でありながら、トヨタ自動車(正確には、豊田中央研究所だったかも)での定常的なご指導を始めた時期でした。年に、何週間か豊田中研に常駐をするというご対応で、次の来日のタイミングを聞いていたような記憶があります。

いくつか、記憶にある範囲、差しさわりの無い内容でご紹介させていただきます。

  • 日本は基幹となるCADソフトが無くていいのでしょうか?

実際、CADソフトは、アメリカ系から、欧州のフランスのダッソーと、ドイツのシーメンスへと移ってしまいました。
ちなみに、Abaqusもダッソーになりましたね。開発者のお名前ヒビット・カールソン・ソレンセンに由来する会社のHKSがダッソーに買収されたときは驚きました。

  • 仮想材料開発で、負のポワソン比の材料ができました。あとは、高原さんの高分子設計に期待しますね。

トポロジ最適化のお話しをお聞きしていた時のご発言です。後半は冗談ですが、材料をパンタグラフ的に動かすには高分子でしか実現できないという趣旨のお話だったように記憶しています。

  • 高原さんが担当されている樹脂成形はもっとも難しい分野ですね。安くて当たり前、でも高分子の制御は複雑。

成形変形問題のお話をしているときのご発言です。以降、高分子を金属・無機材料と比較して理解できるようになりました。

  • 私は研究者ですから、次から次に調べるのが仕事。 RE:searcherですから。

研究者の役割のお話の際のお言葉でした。今回の講演の日本の研究者に足りないふたつのEに通じる話だと思い出しました。ちなみに、「researchしたものを具現化するのは、高良さんらdevelopのお仕事ですね」とも言っておられました。

2005年、SAEでの発表でデトロイトに行きましたが、その際にミシガン大学をご訪問しました。学内のコーヒーショップまで散歩しました。途中、学生が運営している見るからに素晴らしい図書館や、電子系先の走りのENIACの展示などをご説明してくださったことろ鮮明に覚えてます。ちょっと寒い、少し雪の残るアナーバーでした。

ちょうど来週(2月15日)ミシガン大学で、ENIAC 75周年のon-siteとwebでのイベントがあるようです。以下、ご参照ください。

75th anniversary of the ENIAC (umich.edu)